私なりにこれまでの腎不全医療を振り返り、今後を展望したいと思います。30年前の透析治療はあまりにも水分制限や食事制限が厳しく長時間の透析であったため、生きるために透析をするのか、透析をするために生きているのかわからないと言われていました。今の透析医療は快適な治療へと進化しています。
同時に、透析を受けていない高齢者と変わらない寿命を手に入れています。さらに透析は進化を続け、患者様の自宅で血液透析を行うまでとなりました。臨床工学技士や看護師がいなくても、自宅で血液透析が可能となっています。在宅血液透析は生存率が高く、献腎移植に匹敵するとも言われています。もはや病院に来なくても自分の好きな時間に好きなだけ透析をすることができるのです。当院からも6名が在宅血液透析へ巣立っていかれました。いつの日かだれもが透析に自由にアクセスできるようになることを待ち遠しく思います。
専門病院として、きちんとしたエビデンス(医学的根拠)に基づいた治療を心がけています。また、手術や透析治療に関しても、どういう施術が個々の患者様に適切なのかを親身になって考えて、加療を行いたいと考えています。